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おそらく好きなコンテンツの話か雑記

「ブランドのはじめかた」「ブランドのそだてかた」読了

ブランドのはじめかた
中川淳 西澤明洋
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ブランドのそだてかた
中川淳 西澤明洋
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「ブランドのはじめかた」は著者が手がけたブランディング事例のインタビューと、エイトブランディングデザインの方法論をもとにしたブランドの作り方についての解説。「ブランドのそだてかた」は著者が気になっていた企業に対してのインタビューとそれらを21にまとめた構成になっている。

恥ずかしながら、ブランド力を上げるデザインってどうすればいいんだろうという動機でこの本を手にとったので、まえがきに書かれていた「ブランド=デザインという誤解」という文章にガツンとやられた。ただ、エイトブランディングデザインの方法論はその動機に対しても良い内容だった。インタビュイーが経営者やブランドマネージャーなので、人材育成など普段考えなかった側面からブランドを語られていて、デザインが寄与する部分はもちろん大きいがそれだけじゃないということが感じ取れた。掲載されている多くの経営者はブランドの形成は人(社員)と言っており、その人たちの経営はどこか人に近いものだと感じた。少なくともインタビュー内では数字を表に出しておらず、「いかに売上を上げるかではなくいかにしてブランド力を上げるか」を意識されているように感じた。雑誌で紹介されている大企業のブランディング事例はほとんどCIになるので、そのあたりでブランド=デザインな誤解が生じているのかもしれない。

特に印象に残ったのが、エイトブランディングデザインの解説の部分で、ブランディングの定義は差別化と言い切ってしまっていて、差別化は徹底的なフォーカスから生まれるということ。デザインのコントロールやクオリティアップを図っても他と差別化できていなければお客さんのイメージ作りまでは到達できないと。言われてみると確かにという感じ。 あと、「デザイナーの経営リテラシー」という言い方はすごくいいなと思った。経営者のデザインリテラシーとデザイナーの経営リテラシーがそれぞれ高い企業がブランディングうまくいってるのかもしれない。

「いかにして売上を上げるか」ではなく「いかにブランド力を上げるか」が今の時代に必要な経営感覚と著者は述べているが、これを理解して実践までいけるには相応の度量がいると思うので、そういうのに寄与できるデザインしたいと思った。